洋楽日和

オリジナルの洋楽和訳、紹介してます。

『Candle in the Wind』エルトン・ジョン 歌詞和訳|『風の中の火のように』Elton John

今回は、Elton John(エルトン・ジョン)の

  • Candle in the Wind(風の中の火のように)

の歌詞を和訳します。

この曲は50年代に時代の象徴となり、62年に亡くなったマリリン・モンローに捧げた曲とされています。

冒頭の

Goodbye Norma Jean

さようなら ノーマ・ジーン

「ノーマ・ジーン」はマリリン・モンローの本名です。

彼女は父親を知らず、孤児院や養家をたらい回しにされるという過酷な幼少期を過ごしました。

女優として成功した後も「セックス・シンボル」として男性が求めるステレオタイプ的な女性像を演じ続け、3度の離婚に薬物依存、うつ病にも悩まされるなど人知れず苦しみを抱えていたと言われています。

最後は自宅で睡眠薬の過剰服用により、自殺とも他殺ともわからない死を遂げました。

この曲は彼女の死から10年という月日が流れた後、あくまで「マリリン・モンロー」というセックス・シンボルではなく一人の「ノーマ・ジーン」という女優を称える曲として書かれています。

最後に作詞者であるバーニー・トーピンのインタビューも和訳しているので、解釈の参考にしてください。

Elton John(エルトン・ジョン)とは?

Elton John(エルトン・ジョン)は、イギリスのミュージシャン、シンガーソングライター。

1969年にソロ・デビューし、翌年1970年に『僕の歌は君の歌」でヒットする。

作曲は自身によるものだが、作詞に関してはデビュー以降バーニー・トーピンが担当している。

70年代の全盛期を追えて、80年代後半から90年代前半にかけては楽物依存症やアルコールで苦しむ日々を送っていた。

が、依存症を乗り越えて90年代後半には映画『ライオン・キング』のサントラなど多くの仕事で成功している。

グラミー賞は5回受賞、34回ノミネーションされている。

Candle in the Wind(風の中の火のように)という曲

Candle in the Wind(風の中の火のように)は、1973年に発表されたエルトン・ジョンの楽曲。


www.youtube.com

1973年に発売されたアルバム「黄金のレンガ路」に収録されている。

1974年にシングル発売され、全英チャート最高11位を獲得した(アメリカでのシングル発売はなし)

作曲はエルトン・ジョン、作詞はバーニー・トーピンが務める。

また、1997年にダイアナ元英皇太妃への追悼シングルとしてリメイク版が発売され、世界中のチャートでトップを記録した。

Candle in the Wind

Candle in the Wind

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Candle in the Wind(風の中の火のように)の歌詞

Goodbye Norma Jean
Though I never knew you at all
You had the grace to hold yourself
While those around you crawled
They crawled out of the woodwork
And they whispered into your brain
They set you on the treadmill
And they made you change your name

And it seems to me you lived your life
Like a candle in the wind
Never knowing who to cling to
When the rain set in
And I would liked to have known you
But I was just a kid
Your candle burned out long before
Your legend ever did

Loneliness was tough
The toughest role you ever played
Hollywood created a superstar
And pain was the price you paid
Even when you died
Oh the press still hounded you
All the papers had to say
Was that Marilyn was found in the nude

And it seems to me you lived your life
Like a candle in the wind
Never knowing who to cling to
When the rain set in
And I would liked to have known you
But I was just a kid
Your candle burned out long before
Your legend ever did

Goodbye Norma Jean
Though I never knew you at all
You had the grace to hold yourself
While those around you crawled

Goodbye Norma Jean
From the young man in the twenty second row
Who sees you as something as more than sexual
More than just our Marilyn Monroe

And it seems to me you lived your life
Like a candle in the wind
Never knowing who to cling to
When the rain set in
And I would liked to have known you
But I was just a kid
Your candle burned out long before
Your legend ever did

The candle burned out long before
Your legend ever did

Candle in the Wind(風の中の火のように)の歌詞和訳

さようなら ノーマ・ジーン

会ったことは一度もないけれど

貴女は気品をもって自分を律していた

野次馬たちが周りをウロウロしていても

そいつらは何処からともなくやって来て

貴女の脳内に囁いては

退屈な仕事を与えて

貴女の名前さえも変えさせてしまった

僕には貴女が

風の中で灯るロウソクのように生きていたと思えるんだ

誰をすがっていいのかもわからない

雨が降り始めた時さえも

貴女のことを知っていたらと思うけれど

僕はただのガキだったから

貴女のロウソクは燃え尽きてしまったんだ

伝説が終わるずっと前に

孤独は過酷さ

貴女が今まで演じた中で一番辛い役だ

ハリウッドはスーパースターを生み出し

苦しみの代償を貴女が払ったんだ

亡くなった時さえも

マスコミは貴女を追い回したね

新聞社がこぞって知らせたのは

”マリリン・モンローが全裸で発見された”ということだけ

サビ繰り返し

さようなら ノーマ・ジーン

客席の22列目に座る 青臭いガキが捧ぐよ

貴女を特別だと思ってる セクシャルな対象というより

あのマリリン・モンロー以上の存在だったって

Candle in the Wind(風の中の火のように)の歌詞【1997年リメイク版】

1997年にダイアナ元皇太妃に捧げるためにリメイクされた歌詞がこちら。

主題は同じだが、歌詞自体は大きく異なるものとなっている。

和訳のチェックポイント(単語・文法の解説)

以下、和訳のチェックポイントをまとめておく。

Goodbye Norma Jean

さようなら ノーマ・ジーン

Though I never knew you at all

会ったことは一度もないけれど

You had the grace to hold yourself

貴女は気品をもって自分を律していた

While those around you crawled

野次馬たちが周りをウロウロしていても

They crawled out of the woodwork

そいつらは何処からともなくやって来て

And they whispered into your brain

貴女の脳内に囁いては

They set you on the treadmill

退屈な仕事を与えて

And they made you change your name

貴女の名前さえも変えさせてしまった

「Norma Jean(ノーマ・ジーン)」はマリリン・モンローの本名。

  • grace「気品」
  • hold oneself「自分の気持を抑える」
  • those「~人々」
  • crawl「這い回る」
  • whisper「ささやく」
  • crawl out of the woodwork「何処からともなく出てくる」
  • treadmill「単調な仕事」

マリリン・モンローは、1950年代で最も人気のあるセックスシンボルの1人である。

1962年ロサンゼルスの自宅で睡眠薬の多量服用、36歳という若さでこの世を去った。

ちなみにマリリン・モンローの死は、全裸で発見という自殺(あるいは他殺という陰謀説も含めて)非常にセンセーショナルなものだった。

50年代当時の業界が、彼女に求めたステレオタイプは

  • 頭が悪くて
  • 色っぽくて
  • グラマラス

スカートがはためくのを嬉しそうに笑いながら押さえる、あくまで男性が求める「セックス・シンボル」としての理想の女性像である。

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しかしそれは彼女の本意ではなかったことは

私は、マリリン・モンローを演じ続けるのがもう嫌だったの。私がアーサーに惹かれた理由のひとつは、彼が、ほかの誰でもない、私を欲しいと言ったからよ。彼と結婚すれば、マリリン・モンローから遠ざかることができると思ったのに、違ったのよ

と劇作家アーサー・ミラーと結婚する時に語っていることからも明らかだ。

(しかし結局、彼はトロフィーワイフとしての「マリリン・モンロー」しか欲しておらず、結婚は失敗に終わった)

自分に与えられる役柄への抵抗。

脱セックス・シンボルをはかり後年は様々な役へと幅を広げていくも薬物乱用、うつ病、不安に悩む不安定な状態が続いていた。

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彼女の死後、そういった”真実のマリリン・モンロー象”が公に知られるようになり、その評価も変容する。

この曲もまた、マリリン・モンロー全盛期に子どもだったエルトン・ジョンやバーニー・トーピンの世代から、彼女を再評価する歌と位置づけられるだろう。

And it seems to me you lived your life

Like a candle in the wind

僕には貴女が

風の中で灯るロウソクのように生きていたと思えるんだ

Never knowing who to cling to

誰にすがっていいのかもわからない
When the rain set in

雨が降り始めた時さえも

And I would liked to have known you

貴女のことを知っていたらと思うけれど

But I was just a kid

僕はただのガキだったから

Your candle burned out long before

貴女のロウソクは燃え尽きてしまったんだ

Your legend ever did

伝説が終わるずっと前に

単語は

  • it seems to ~…「~には…のように思われる」
  • like「~のように」
  • cling to「くっつく、しがみつく」
  • set in「(季節・悪天候・病気などが)始まる」
  • long before~「~のずっと前に」

風の中に灯るロウソクのように(=儚く危うげに必死に)燃えていた命だった、という例え。

(火を消しさるような)雨がふったときも、誰を頼るべきかわからない(=孤独)

もし自分が彼女と同じ年代に生き(今みたいにスーパースターとして成功していたら)知り合いになって苦しみを分かち合うことができたかもしれない。

が、今は70年代(彼女が死んだのは60年代)生まれてきた世代が異なっていた。

既に彼女の命は燃え尽きている。

「long before your legend ever did」の「did」は前述の「burned out」を指す。

なので「(マリリン・モンローという)貴女の伝説が燃え尽きる(忘れさられる)ずっと前に」貴女は死んでしまった(=つまり貴女が死んでも、伝説は燃え尽きず残り続けていた)ということ。

Loneliness was tough

孤独は過酷さ

The toughest role you ever played

貴女が今まで演じた中で一番辛い役だ

Hollywood created a superstar

ハリウッドはスーパースターを生み出し

And pain was the price you paid

苦しみの代償を貴女が払ったんだ

Even when you died

亡くなった時さえも
Oh the press still hounded you

マスコミは貴女を追い回したね
All the papers had to say

新聞社がこぞって知らせたのは

Was that Marilyn was found in the nude

”マリリン・モンローが全裸で発見された”ということだけ

単語は

  • tough「苦しい、きつい」
  • role「役」
  • pain「痛み、苦しみ」
  • pay the price「代償を払う」
  • hound「追い回す、激しく追跡する」
  • paper「新聞(社)」

もはやマリリン・モンローというのは、彼女が演じた最も辛く孤独な役だった。

ハリウッドスターを生み出し(業界は私腹を肥やしたが)その大きな代償を払ったのは彼女でしかない。

最後は

  • All the papers had to say(S)
  • was(V)
  • that Marilyn was found in the nude(C)

「All ... have to do is (to) ○○」は「...がしなくてはならないのは○○だけだ」という熟語。

つまりマリリン・モンローは亡くなったときでさえも全裸で死んだという「セクシャル」な話題だけを求められた(=大衆や新聞社が最も興味をもったのはそれであり、そこだけを伝えらればOKという状態)

Goodbye Norma Jean

さようなら ノーマ・ジーン

From the young man in the twenty second row

客席の22列目に座る 青臭いガキが捧ぐよ

Who sees you as something as more than sexual

貴女を特別だと思ってる セクシャルな対象というより

More than just our Marilyn Monroe

あのマリリン・モンロー以上の存在だったって

単語は

  • row「列」
  • something「重要なもの(人)」
  • more than~「~以上の」

「in the twenty second row」は映画館の客席の22番列目と解釈した

(ただの観客であり若造でしかない僕だけど)こうやって君に捧ぐ歌を贈るよ、という流れ。

「who」は関係代名詞で全文の「the young man in the twenty second row」を補足している。

マリリン・モンローというセックス・シンボルではなく、ノーマ・ジーンという一人の女優として貴女を尊敬しているということ。

和訳した感想

ということで今回は、エルトン・ジョンの

  • Candle in the Wind(風の中の火のように)

を和訳しました。

セックス・シンボルとして大衆に消費された一人の女声に敬意を示す、良質のバラードですね。

ちなみにこの曲について作詞者のバーニー・トーピンは

I wrote ‘Candle In The Wind’ about Marilyn Monroe, but she is absolutely not someone I admired a lot as a kid or anything. She was just a metaphor for fame and dying young, and people sort of overdoing the indulgence, and those that do die young. The song could have easily have been about Montgomery Clift or James Dean or even Jim Morrison. But it seemed that she just had a more sympathetic bent to her, so I used her. And she was female, and that was more vulnerable. But it was really about the excesses of celebrity, the early demise of celebrities, and ‘live fast, die young, and leave a beautiful corpse.’ And that was really the crux of the song.

僕は「キャンドル・イン・ザ・ウィンド」でマリリン・モンローについて書いたけど、子供のとき特に大好きだった人物でもないんだよ、全くね。彼女は名声とか早逝、ある種の娯楽に耽ったり、早死にする人々の単なるメタファーだったんだ。この曲は簡単に、モンゴメリー・クリフトやジェームズ・ディーン、それからジム・モリソンの曲にもできたと思うよ。でももっと同情的な感じだったから、彼女を使ったんだよね。あと彼女は女性で、より儚げだったから。でも実際は、行き過ぎた名声とか、それがあまりにも早く廃れていくこととか、まさに「生き急ぎ、若くして死に、美しい死体を残す」そういうことを書いたんだよ。それがこの曲の核心だったんだ。

語っています。

なので実はマリリン・モンローという人物に、それほど深い思い入れがあるというわけではないようです。

ちなみにエルトン・ジョンは、マリリン・モンローが大ファンだったと語っています。

ダイアナ元皇太妃のためにリメイクされた1997年版も和訳しようかと悩んだのですが。

まあアルバムに入ってるのがオリジナルなので、おそらく多くの人が聞いたことあるのは今回紹介したマリリン・モンローを歌っている歌詞になるかと思います。

エド・シーランのカバーも公式でありますので、気になる方は聞いてみてください。


www.youtube.com


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