今回は、John Lennon(ジョン・レノン)の
- Imagine(イマジン)
の歌詞を和訳したいと思います。
歌のタイトルであり、繰り返し使われる「Imagine(想像して)」のフレーズはジョン・レノン2番目の妻であった
- オノ・ヨーコ
の詩集『グレープフルーツ』から着想を得たと語っています。
この中の「TUNAFISH SANDWICH PIECE」という詩の中に
Imagine one thousand suns in the
sky at the same time.想像しなさい
千の太陽が一度に空にあるところを
という節があります。
また「CLOUD PIECE」という詩の中にも
Imagine the clouds dripping.
Dig a hole in your garden to
put them in.想像しなさい 雲が滴り落ちるところを
家の庭にそれを受け止める穴を掘りなさい
というフレーズがあり、これはアルバム『イマジン』裏ジャケットの下部にも印字されていました。
John Lennon(ジョン・レノン)とは?
John Lennon(ジョン・レノン)は、イギリス出身のシンガーソングライター・ギタリストである(1940年10月9日~1980年12月8日)
ビートルズで、ボーカル・ギターなどを担当し、レノン=マッカートニー名義で作詞作曲を行った。
ビートルズ解散後は、ソロ活動を主とした。
1975年からは約5年間、音楽活動を休止。
その後1980年から活動再開に至るも、同年12月8日23時ごろにニューヨークの自宅アパート「ダコタ・ハウス」前で射殺された。
Imagine(イマジン)という曲
Imagine(イマジン)は、1971年に発表されたジョン・レノンの楽曲。
2002年ギネス・ワールド・レコーズ社が31000人以上に対して「英国史上最高のシングル曲は?」というアンケートを行った結果「ボヘミアン・ラプソディ」に次ぐ第2位を獲得した。
完成した際、ジョン・レノンは
やっと(ポール・マッカートニー作の)イエスタデイみたいないい曲ができた
と喜んだといわれている。
Imagine(イマジン)の歌詞
Imagine there's no heaven
It's easy if you try
No hell below us
Above us, only skyImagine all the people
Livin' for today
AhImagine there's no countries
It isn't hard to do
Nothing to kill or die for
And no religion, tooImagine all the people
Livin' life in peace
YouYou may say I'm a dreamer
But I'm not the only one
I hope someday you'll join us
And the world will be as oneImagine no possessions
I wonder if you can
No need for greed or hunger
A brotherhood of manImagine all the people
Sharing all the world
YouYou may say I'm a dreamer
But I'm not the only one
I hope someday you'll join us
And the world will live as one
Imagine(イマジン)の歌詞和訳
想像してごらん 天国なんてないって
やってみれば 簡単なんだ
僕たちの足元には地獄もないし
頭上にはただ空が広がるだけ
*
想像してごらん
今日を生きるすべての人たちを
*
想像してごらん 国なんか存在しないって
難しくはないよ
殺したり死んだりする理由は一つもなく
宗教だって 勿論ないんだ
*
想像してごらん
平和に暮らしてる人たちを
*
君は言うかもね お前は夢想家だって
でも僕だけじゃない
願ってるんだ いつの日か君も一緒にって
そして世界は一つになるのさ
*
想像してごらん 何も所有しないんだ
君にもできるんじゃないかって思う
欲張ったり飢えたりする必要もない
人類は皆 兄弟なんだ
*
想像してごらん
すべての人々が世界を分け合う姿を
*
君は言うかもね お前は夢想家だって
でも僕だけじゃない
願ってるんだ いつの日か君も一緒にって
そして世界は一つになるのさ
和訳のチェックポイント(単語・文法の解説)
以下、和訳のチェックポイントをまとめておく。
まず
Imagine there's no heaven
想像してごらん 天国なんてないって
It's easy if you try
やってみれば 簡単なんだ
No hell below us
僕たちの足元には地獄もないし
Above us, only sky
頭上にはただ空が広がるだけ
Imagine all the people
想像してごらん
Livin' for today
今日を生きるすべての人たちを
単語は
- imagine「想像する」
- there's「~がある」
- hell「地獄」
- below「~の下」
- above「~の上」
である。
この「天国は存在しない」という歌いだしは「ふさわしくない」として、イギリスの葬儀では使用が禁止されているとの調査もある。
また、歌詞のタイトルともなっている「Imagine(想像して)」というフレーズは、オノ・ヨーコの詩集『グレープフルーツ』から拝借したと語っている。
Imagine there's no countries
想像してごらん 国なんか存在しないって
It isn't hard to do
難しくはないよ
Nothing to kill or die for
殺したり死んだりする理由は一つもなく
And no religion, too
宗教だって 勿論ないんだ
Imagine all the people
想像してごらん
Livin' life in peace
平和に暮らしてる人たちを
単語は
- religione「宗教」
である。
国家や宗教によって分断した全ての人々が一つになる道を説く歌詞。
この曲についてジョン・レノンは
An anti-religious, anti-nationalistic, anti-conventional, anti-capitalist song, but because it’s sugar-coated, it’s accepted.
宗教にも、国家主義にも、保守にも、資本主義にも反対してる歌さ。でも耳には心地よい甘い言葉で、受け容れられやすいんだ。
と語っている。
だが、あらゆる宗教を否定した「And no religion, too」という節は今でも賛否両論あり、カバーにおいて削除されたり改変されることもある。
You may say I'm a dreamer
君は言うかもね お前は夢想家だって
But I'm not the only one
でも僕だけじゃない
I hope someday you'll join us
願ってるんだ いつの日か君も一緒にって
And the world will be as one
そして世界は一つになるのさ
国境が消失し、宗教がなくなり、人類が一つになって愛を育む。
そんなことを歌う自分を、夢想家だと君は笑うかもしれない。
だが、自分たちを否定する「君」さえもいつか一緒となり、世界が一つになることを願うという意。
Imagine no possessions
想像してごらん 何も所有しないんだ
I wonder if you can
君にもできるんじゃないかって思う
No need for greed or hunger
欲張ったり飢えたりする必要もない
A brotherhood of man
人類は皆 兄弟なんだ
Imagine all the people
想像してごらん
Sharing all the world
すべての人々が世界を分け合う姿を
単語は
- possession「所有物」
- wonder if「~かなと思う」
- greed「貪欲」
- hunger「飢え」
- brotherhood「兄弟愛」
である。
個人の所有物がないということは、貧富の差がないという意。
誰かが飢えて、誰かが富むということはなく、等しく皆が満たされている(=欲張る人も飢えてる人もいない)ということ。
同じ星に住んでる人類は皆、兄弟だ(=国や宗教は関係なく、相互に助け合える)という意。
和訳した感想
ということで今回は、John Lennon(ジョン・レノン)の
- Imagine(イマジン)
の歌詞を和訳しました。
そのあまりに悲劇的な死と共に語られることの多いジョン・レノン。
しかし彼自身、死ぬ3日前に
アイドル崇拝したがる批評家がいる。シド・ヴィシャスやジェームス・ディーンのようなデッド・ヒーローを求めてる。俺は、死んだヒーローになることなんか興味ない
と『Rolling Stone』誌のインタビューで答えていたという事実にも、考えされられるものがあります。
「Imagine」という曲に関しては、社会主義的思想を想起させる点からも様々な賛否両論があります。
彼の主張はあくまで「imagine」つまり「想像」の域を超えない可能性に過ぎません。
それでも無宗教を自認する人が多い日本とは異なり、欧米圏では「there's no heaven」や「no religion」といった歌詞が今なお問題視され続けます。
イギリスでも発売当初は、無政府主義的あるいは共産主義的という理由で、一部の放送曲で放送禁止となりました。
イラク侵攻時には反戦運動を象徴するピースソングとして米兵の士気を下げるという理由から、ブッシュ政権は当局を放送禁止にしたと言われています。
一見、牧歌的なメロディーに柔らかな歌詞。
深く意味を考えれば、とても過激で、或る意味で目を覆いたくなるような真っすぐすぎる正論。
ただそこにあるのは、単純なほどに真理を突いた平和への希求に他なりません。
この曲を聞いて
- ジョン・レノンは共産主義者?
と思う人もいるかもしれませんが、私自身はそうは感じません。
国と国が闘い、宗教と宗教がぶつかり合い、人が血を流すことに子供のような純粋さをもって異を唱えてるだけ。
いつの世も、行き過ぎたナショナリズムが戦争の引き金になるものです。
ただ反対に、国境や主教を含む文化差異が消失した先にあるのもディストピアではと私は感じます。
差異を消して融合するのではなく、他との違いを否定せずに受け入れ尊重することが大事なのだと思いますが、それもまた夢想家の戯言でしょうか。
何にせよ人々が平和を願う気持ちが「夢想」などと一蹴されない世界で生きたい、と願わずにはいられません。
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『Imagine』が完成した際、ジョン・レノンが
やっと(ポール・マッカートニー作の)イエスタデイみたいないい曲ができた
と喜んだというのは有名な話です。
『Yesterday』『Hey Jude』そしてビートルズの最後を飾った『Le It Be』は、どれもポール・マッカートニー作詞作曲の楽曲になります。
ビートルズ時代のジョン・レノンの代表曲といえば『All You Need Is Love』や『Strawberry Fields Forever』などでしょうか。
『Imagine』はビートルズ解散後のジョン・レノンのソロ曲になりますが、ぜひビートルズ時代の曲も合わせて聞いてみてください。