今回は、洋楽の歌詞を和訳するコツを多少なりとも知りたいという方のために情報をまとめておきます。
私自身もまだまだと思うところが大きいのですが
- 和訳が苦手
- 英語学習初心者
- 歌詞和訳が全くできない
といった悩みを抱える方には、参考になるはずです。
人それぞれ正解があると思いますが、お悩みの方はよろしければ参考にしてください。
1. 主語を省略する
日本語と英語の大きな違いが
- 主語の使い方
です。
簡単に言えば、日本語の場合は主語を省略してもOKです。
なので古文を学ぶ際は「主語を補って考えるように」と先生からアドバイスをもらうことも多いですよね。
英語は逆です。
主語がハッキリしている言語なので、そのまま日本語に直すとかなり違和感があります。
できるだけ
- 主語を省略する
という意識をもつだけで和訳の質はグッと上がるように思われます。
2. 時制に注目する
歌詞和訳で、案外に見落とされがちなのが
- 時制
です。
- 過去形
- 命令形
- 仮定法
- 完了形
など、動詞の形を意識してチェックしましょう。
文脈がハッキリしておらず、意味をくみ取りにくい歌詞だからこそ時制をきちんと見極めることで背景をくみ取りやすくなります。
3. 単語の意味をきちんと調べる
面倒に思われる人も多いかもしれませんが
- 単語・熟語
に関して、きちんと調べた方が誤訳は少なくなります。
特に、英語の歌詞は
- 雰囲気
- 推測
- 何となく
といった感じで読み進めてしまえるので、結果として全く異なった和訳のままにアウトプットされてしまいがちです。
少しでも気になる部分があったら、必ず調べてみましょう。
意外にも
として別の意味を持っていたり、慣用表現としての決まり文句であることも多いです。
4. 情報は英語で検索する
単語や熟語の意味もそうですが
- 情報検索は英語
で行うことをおすすめします。
英語の歌詞は意味をくみ取りにくく、どうしてもネイティブでないと理解しにくい文脈もあります。
なので、歌詞を考察してる
- 英語のブログや掲示板
を検索して、読んでみるのがおすすめです。
ハードルが高いと感じる人もいるかもしれませんが、英語の勉強にもなります。
また意外な発見があり、こんな解釈もあるのかと目から鱗が落ちることも老いです。
英語での情報検索は外せない、と個人的には思います。
5. 歌手のインタビューに注目する
英語で情報検索をするのであれば、ぜひ
- 歌手
- 作曲者
のコメント(インタビュー記事など)を探してみてください。
歌詞はどうしてもそのままだと解釈が困難なものがあります。
そういった歌詞にまつわるトリビア、裏話をインタビューなどで答えている場合があり、非常に参考になります。
ネットで検索すれば、案外に沢山情報が出てくるものです。
全ての文章を読むのが面倒という人は
- Ctrl+Fキー
を同時に押すと、検索コマンドが出てきます。
そこで気になった歌詞の一部などを入力して、その部分に関するアーティストの発言を読むという形でも良いと思います。
6. 英語版のWikipediaも便利
情報検索の有用なツールとして、英語版のWikipediaも有用です。
日本のウィキペディアよりも
- 情報量が圧倒的に多い
ので、歌詞解釈の前に情報を調べる際に便利です。
- 歌手
- アルバム
- 曲
個別に記事が充実してることが大半です。
英語での情報検索が自分にとって難しいという人もいると思います。
そういう場合は、まずWikipediaから使ってみるのが◎かもしれません。
7. 原文のリズム・流れを意識して和訳する
主語を省略すると似ているのですが
- 文字のリズム
を意識して和訳していくのが、個人的にはおすすめです。
これは昔読んだ
- 英文翻訳術
という本に感化されて、癖にしている考え方です。
その最初のページに
原文の思考の流れを乱すな
という話があります。
少しだけ引用すると
文法の枠組みに入る前に、まず、すべての前提となる点を幾つか最初に書いておきたい。その第一は、原文の思考の流れを乱すなということーーつまり、もっと具体的にいえば、原文で単語や句の並んでいる順序をできるだけ変えないで、頭から順に訳しおろしてゆくように心がけるということである。
と書いてあります。
私はこの本を読んだことでかなり気付きが多かったです。
英文の和訳をする際に元の原文のリズム(流れ)をできる限り汲み取れる人間になりたいと考えています。
翻訳に興味がある方は、読んで損はないと思います。
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また英語の歌詞は
- 韻
を踏むためにあえて工夫した単語選びをしている場合も多いです。
単語の意味だけでなく全体の流れを見て、あえてこの単語を末尾に置いてるのかなど考慮すると作曲者の意図が見えやすいです。
8. 俯瞰の試み、必ず全体を通してみる
和訳作業に慣れていないと
- 単語
- 熟語
- 一文の意味
をミクロな視点で見てしまい、和訳に必死になってしまいがちかもしれません。
ただそうなると、どこかで意味がくみ取れない可能性がでてきます。
英語の歌詞は
- 前後でつながってる
ことも多いです。
前文が主語のみだったり、次の部分に目的語あったりなど文法上1つの英文のパーツであることもあります。
なので文意が通らない、文法が理解できないと混乱したら
- 前後の文を必ず見る
ことで手掛かりを探す癖をもつと良いと思います。
9. 「なぜ?」と考えて立ち止まって原文に寄り添う
個人的に最も重要なポイントだと感じるのが
- なぜ?
と疑問を抱いて立ち止まり、深く考えるという作業です。
一見
- 意味不明
と感じた歌詞でも、無理やりに日本語にする前にまず意味を考えます。
全体を通して「何らかの役割を果たしてるはず」と立ち止まり、とにかく深く考えてみましょう。
和訳というのは
- 日本語⇒英語
に置きかえるという単純作業では全くないと私は思います。
まず原文を理解する。
原文への理解がなければ、いくら単語を日本語に置き換えても文意が通らず、読み手の心に響きません。
- この単語の意味は?
- この文は何を言ってる?
- なぜこんな歌詞になってるんだ?
とできる限り理解しようと努めます。
そのために情報を調べて背景をくみ取ることや、単語・熟語の意味を逐一調べる必要が出てくるのです。
相手が伝えたいことはなにか?
底に寄り添おうとする姿勢は、英語力が乏しくても誰でもできることです。
頭を使って、理解する。
解釈が終わった時点で、それを一番わかりやすい形で、日本語にする。
あくまで原文の書き手の意図を損なわないように、アウトプットする作業が和訳なのだと思います。
その意味で、翻訳は創作作業です。
人によって理解が異なれば、和訳の内容も変わります。
そこに面白さを見出しながら、じっくりと深読みの練習をするのがおすすめです。
10. どこまで細部に目を向けられるのか?
昔、大学の研究室で英語の文献を読解していたときのことです。
ある本の一文。
そこに記されていた「it」の意味について、ふと教授が「このitは何なんだ」と考え始めたんです。
それから1時間近くでした。
そのたった1つの単語の意味について、教授はずっと考え続けました。
私はその様子を見て、仰天したのを今でも覚えています。
これは極端な例ですが、やはりその教授は翻訳のプロでしたし
- たった1つの単語
に対する敏感さ、は常軌を逸してると常々思うことがありました。
英文をすっと流してしまうのではなく
- 細部
にどれだけ目を向けられるか。
原文の書き手が伝えたいことに寄り添う努力ができるか、なのかもしれません。
まとめ|洋楽の和訳は英語力より○○力だと思う
ということで今回の記事では、
- 洋楽の和訳
を行う上でのコツのようなものを考えてみました。
思うに、英語の和訳は
- 英語力
というよりも国語力が求められる作業だと私は常々考えています。
そもそも
- 日本語の語彙
がなければ、豊かな和訳表現はできないと思います。
歌詞自体は短いものですし、単語の意味がわからなければ調べればいいだけです。
それよりも
- 深く考える
- 全体の文脈を理解する
ことの方が難しく、やはりどれだけ時間をかけて英文に向き合えるのかではないかと思います。
色々と書きましたが、私自身もまだまだ修行中の身です。
あと10年後くらいにはせめて、満足いく和訳ができるくらいの英語力を身に着けたいものです。