今回の記事ではEric Clapton(エリック・クラプトン)の代表曲
- Tears In Heaven(ティアーズ・イン・ヘブン)
の歌詞和訳をしたいと思います。
タイトルの「Tears In Heaven」には
- 天国の涙
という邦題が付いています。
この曲は、エリック・クラプトンの代表曲の1つであると同時に
- 息子コナーの死
を悼んで作った曲として知られています。
当時4歳半だった彼の息子コナーは、53階にある自宅アパートの踊り場の窓からあやまって転落し、事故死してしまいました。
クラプトンは、悲しみに暮れて自宅に引きこもったといわれています。
そしてコナーに捧げるこの曲作り、それから10年近くにわたり歌い続け、その悲しみを癒すように努めたそうです。
Eric Clapton(エリック・クラプトン)って?
エリック・パトリック・クラプトン(Eric Patrick Clapton)は、イングランド出身のミュージシャン。
1945年3月30日生まれ。
「スローハンド」と呼ばれるギターの名手としても有名。
ジェフ・ベック、ジミー・ペイジと並ぶ世界3大ロック・ギタリストの一人ともいわれる。
代表曲は「チェンジ・ザ・ワールド」「ティアーズ・イン・ヘヴン」 など。
Tears In Heaven(ティアーズ・イン・ヘブン)という曲について
1992年にリリースされたエリック・クラプトンの代表曲。
アルバム「アンプラグド〜アコースティック・クラプトン」に収録されている。
1993年グラミー賞の最優秀レコード賞、最優秀楽曲賞、最優秀ポップ男性歌手賞に選出された。
1992年の映画「ラッシュ」の主題歌としても使用されている曲。
クラプトンは2004年にライブで披露するのをやめたが、2013年からまた演奏を行っている。
公式のYouTube動画はアップされていないので、ここでの転載を控えることにした。
Amazonプライムミュージックで聴くことができる。
Tears In Heaven(ティアーズ・イン・ヘブン)の歌詞
Would you know my name
If I saw you in heaven?
Would it be the same
If I saw you in heaven?
I must be strong and carry on
'Cause I know I don't belong here in heavenWould you hold my hand
If I saw you in heaven?
Would you help me stand
If I saw you in heaven?
I'll find my way through night and day
'Cause I know I just can't stay here in heavenTime can bring you down, time can bend your knees
Time can break your heart, have you begging please, begging pleaseBeyond the door there's peace I'm sure
And I know there'll be no more tears in heavenWould you know my name
If I saw you in heaven?
Would it be the same
If I saw you in heaven?
I must be strong and carry on
'Cause I know I don't belong here in heaven
Tears In Heaven(ティアーズ・イン・ヘブン)の歌詞和訳
僕の名前を憶えているだろうか
もしも天国で会えるなら
変わらないでいてくれるだろうか
もしも天国で会えるなら
強くなって 生き続けないといけないな
わかってるよ ここ天国は僕のいるべき場所じゃないんだ
*
手をつないでくれるかな
もしも天国で会えるなら
立ち上がれるよう助けてくれるかな
もしも天国で会えるなら
苦しくても進み続ける 昼も夜もずっと
わかってる ここ天国に僕が居続けることはできないんだ
*
時の流れがお前を打ち負かし
跪かせ
心を砕き 気づけば請わせているだろう
どうかお願いします どうか…
*
扉の向こうに
平穏がある わかってるよ
だから これ以上の涙も天国には存在しないんだ
*
僕の名前を憶えているだろうか
もしも天国で会えるなら
変わらないでいてくれるだろうか
もしも天国で会えるなら
強くなって 生き続けないといけないな
わかってるよ ここ天国は僕のいるべき場所じゃないんだ
和訳チェックポイント(単語の意味・文法など)
以下、和訳のチェックポイントをまとめておく。
まず
Would you know my name
僕の名前を憶えているだろうか
If I saw you in heaven?
もしも天国で会えるなら
Would it be the same
変わらないでいてくれるだろうか
If I saw you in heaven?
もしも天国で会えるなら
下線部はすべて仮定法で
- If S 過去形, S would「もし~ならば…だろう」
という意味をもつ。
亡くなった息子に天国で会えたらと仮定し、自分の名前を覚えたまま忘れないでいてくれるだろうかと問いかけている。
I must be strong and carry on
強くなって 生き続けないといけないな
単語は
- must「~しなければならない」
- carry on「続ける」
助動詞のmustは「be」と「carry」の2つの動詞にかかっている。
また、ここでの「carry on」は生というものを全うし「生き続けなければ」という意で捉えた。
'Cause I know I don't belong here in heaven
わかってる ここ天国に僕が居続けることはできないんだ
単語は
- don't belong here「ここには相応しくない」
という意味。
「here(ここ)」というのは後述の「in heaven」を踏まえると「天国」である。
つまり
- 息子が恋しい
- もし天国で会えたら…という強い想い
- 自ら生を断ってしまえば
という流れで絶望し、天国の入り口(死の淵)のような場所に自ら立つような状況であると仄めかされている。
でもここ(天国)は自分の居場所ではない。
わかってる。
僕はまだ生き続けないといけないんだ、と思い直すように現世を生きると誓っているという内容。
2番の
Would you hold my hand
手をつないでくれるかな
If I saw you in heaven?
もしも天国で会えるなら
Would you help me stand
立ち上がれるよう助けてくれるかな
If I saw you in heaven?
もしも天国で会えるなら
も1番と同様に仮定法「もし~ならば」という流れで始まる。
- help 人 V「人がVするのを助ける」
という意味で、悲しみを乗り越えられない自分が立ち上がれるよう助けてくれるのではという解釈。
I'll find my way through night and day
苦しくても進み続ける 昼も夜もずっと
'Cause I know I just can't stay here in heaven
わかってる ここ天国は僕がいるべき場所じゃないんだ
単語は
- find one's way「やっとたどり着く、困難を切り抜ける」
- night and day「昼も夜も」
苦しくても生き続ける、という誓い。
天国に行けたら…という想いが死へと自分を誘うが、やはりここではないんだという葛藤がみえる。
続く
Time can bring you down,
時の流れがお前を打ち負かし
time can bend your knees
跪かせ
Time can break your heart,
お前の心を砕き
have you begging please, begging please
気づけば請わせているだろう
どうかお願いします どうか…
というフレーズは、まるで彼自身が天国の神から言葉を授かっているような流れとなる。
※その意味で「you」も先ほどまで異なり「息子」を指すものではない。
単語は
- bend one's knees「ひざを曲げる」
- break「砕く、壊す」
- beg「請う」
である。
補足すると、最後の文は
Time can have you begging please
となり「have O~ing」で「(人)を~させる(させ始める)」という意味である。
この表現は「have O V」と異なり
- 自然と無意識にその状態が続く
というニュアンスがあるため「気づけば請わせている」という訳を採用した。
事故ではあるものの
- 大切な息子が死んでしまった
という事実は、クラプトンを打ちのめすものであり、時の流れは容赦なくその空白を突き付ける。
- 後悔
- 悲しみ
- 罪悪感
すべての感情の元に跪き、どうか息子を返してくださいと祈る父親の姿が見えてくる。
最後に
Beyond the door
扉の向こうに
there's peace I'm sure
平穏がある わかってるよ
And I know there'll be no more tears in heaven
だから これ以上の涙も天国には存在しないんだ
単語は
- beyond「向こう側」
- peace「平和、平穏」
- no more「それ以上~ない」
という意味である。
「扉」とは「天国への入り口」を指しており、まさにその手前まで自分が来ているような状態を指す。
その向こう側に「平穏」が待っていることもわかる。
だからこそ不慮の痛ましい事故で命が失われ、たった独り天国にいる息子の
- 痛み
- 孤独
- 悲しみ
- 寂しさ
- 苦しみ
これらすべての感情の象徴となる「tears(涙)」も存在しないということ。
そして扉のすぐそば(絶望の淵・命を絶つ寸前)まで来たからこそ、天国は平穏な場所であり、息子はもう苦しんでいないと納得することができた。
だからこそ「will」が付き、これから先自分自身の
- 悲しみ
- 苦しみ
- 自責の念
による「tears(涙)」をも、息子が暮らす天国「heaven」には持ち込まない、辛くても生き続けるといった誓いの言葉ではないかと解釈した。
和訳してみた感想
ということで今回はエリック・クラプトンの
- Tears In Heaven(ティアーズ・イン・ヘブン)
を和訳しました。
これは訳しながら、目がウルウルとしてしまい…あまりに悲しい曲でした。
事故の当日、クラプトンは別れた妻が育てていたコナーを動物園に連れていくと約束していたようです。
その日、53階という高さから転落。
父親に会える嬉しさと期待から、もしかすると待ち望むように窓の外を見下ろしたかったのかもしれません。
推測のようになってしまいますが、悲しみだけでなく
- もう少し早く息子を迎えに行っていれば…
という懺悔のような気持もクラプトンは抱えることになったのかもしれません。
クラプトンは過去に
- 女
- 酒
- ドラッグ
に溺れたり、精神不安から自殺未遂を試みるなど波乱万丈な生涯を送っています。
この曲のイメージも、生と死のギリギリを生きてきた彼だからこそ描けたものなのかもしれません。
もう30年近く前の曲になります。
が、後世に残るエリック・クラプトンの名曲なのではないでしょうか。
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同じくエリック・クラプトンの
- Change the World
も強く心に残る名曲の一つです。
また、曲調は異なりますが「レイラ」も聴いたことがある人が多いと思います。
車のCMなどでも使われていましたし、ドライブソングなどにもおすすめです。