今回は、Elton John(エルトン・ジョン)の
- 可愛いダンサー~マキシンに捧ぐ~(Tiny Dancer)
の歌詞を和訳します。
邦題は「可愛いダンサー」とありますが、「tiny」は「小さい」という意味です。
And now she's in me, always with me
今や彼女は僕のもの ずっと共にいる
Tiny dancer in my hand
僕の手の中で踊る 小さな踊り子だ
という流れで歌われています。
エルトン・ジョンが煌びやかな衣装を着て、ライヴを始めた時期の楽曲。
ちなみに副題の「マキシンに捧ぐ」のマキシンは、作詞者であるバーニー・トーピンの最初の妻の名前になります。
映画『ロケットマン』ではトーピンが彼女といるシーンを、エルトン・ジョンが少し寂し気に見つめているシーンのBGMとして使われていました。
Elton John(エルトン・ジョン)とは?
Elton John(エルトン・ジョン)は、イギリスのミュージシャン、シンガーソングライター。
1969年にソロ・デビューし、翌年1970年に『僕の歌は君の歌」でヒットする。
作曲は自身によるものだが、作詞に関してはデビュー以降バーニー・トーピンが担当している。
70年代の全盛期を追えて、80年代後半から90年代前半にかけては楽物依存症やアルコールで苦しむ日々を送っていた。
が、依存症を乗り越えて90年代後半には映画『ライオン・キング』のサントラなど多くの仕事で成功している。
グラミー賞は5回受賞、34回ノミネーションされている。
可愛いダンサー(Tiny Dancer)という曲
可愛いダンサー(Tiny Dancer)は、1971年に発表されたエルトン・ジョンの楽曲。
作曲はエルトン・ジョン、作詞はバーニー・トーピンが務める。
1971年のアルバム『マッドマン』に収録。
可愛いダンサー(Tiny Dancer)の歌詞
Blue jean baby, L.A. lady
Seamstress for the band
Pretty eyed, pirate smile
You'll marry a music manBallerina, you must have seen her
Dancing in the sand
And now she's in me, always with me
Tiny dancer in my handJesus freaks out in the street
Handing tickets out for God
Turning back she just laughs
The Boulevard is not that badPiano man he makes his stand
In the auditorium
Looking on she sings the songs
The words she knows, the tune she humsBut oh, how it feels so real
Lying here with no one near
Only you and you can hear me
When I say softly, slowlyHold me closer tiny dancer
Count the headlights on the highway
Lay me down in sheets of linen
You had a busy day todayHold me closer tiny dancer
Count the headlights on the highway
Lay me down in sheets of linen
You had a busy day todayBlue jean baby, L.A. lady
Seamstress for the band
Pretty eyed, pirate smile
You'll marry a music manBallerina, you must have seen her
Dancing in the sand
And now she's in me, always with me
Tiny dancer in my handBut oh, how it feels so real
Lying here with no one near
Only you and you can hear me
When I say softly, slowlyHold me closer tiny dancer
Count the headlights on the highway
Lay me down in sheets of linen
You had a busy day todayHold me closer tiny dancer
Count the headlights on the highway
Lay me down in sheets of linen
You had a busy day today
可愛いダンサー(Tiny Dancer)の歌詞和訳
ブルージンズの可愛い君
ロサンゼルスの女の子
バンドの衣装を仕立ててる
キレイな瞳 不敵な微笑み
君はミュージシャンと結婚するのさ
*
彼女はバレリーナ 砂浜で踊る彼女を見たはずだ
今や彼女は僕のもの ずっと共にいる
僕の手の中で踊る 小さな踊り子だ
*
通りでは熱狂的なキリスト教徒が
神様のためにチケットを配ってる
振り返りながら 彼女がただ笑うから
大通りはそんなに悪いところじゃない
*
ピアノ弾きの彼は 講堂で演奏をする
知っている歌詞を 客席で口ずさむ
そんな彼女を見つめながら
*
だけど ああ なんて生々しいんだ
誰もいないこの場所で横たわる
君だけさ 君だけが聞いている
僕が優しく ゆっくりと言葉を紡ぐのを…
*
うんと傍で抱きしめて
小さな踊り子さん
ハイウェイのヘッドライトを数えて
僕を麻のシーツに横たわらせて
今日も忙しい一日だったね
*
うんと強く抱きしめて
小さな踊り子さん
ハイウェイのヘッドライトを数えて
僕を麻のシーツに横たわらせて
今日も忙しい一日だったね
*
繰り返し
和訳のチェックポイント(単語・文法の解説)
以下、和訳のチェックポイントをまとめておく。
Blue jean baby, L.A. lady
ブルージンズの可愛い君
ロサンゼルスの女の子
Seamstress for the band
バンドの衣装を仕立ててる
Pretty eyed, pirate smile
キレイな瞳 不敵な微笑み
You'll marry a music man
君はミュージシャンと結婚するのさ
単語は
- seamstress「仕立て屋」
- pirate「海賊」
である。
「pirate smile」に関しては、Urban Dictionaryを参考に(海賊みたいな)「不敵な笑み」と解釈した。
この曲は、作詞者トーピンの最初の妻に捧げた曲とされている。
実際、マキシン・フェイベルマンはエルトンやバーニーとツアーに同行し、衣装の直しなどを手伝っていた。
ただ、冒頭の「ブルージーンズの…」という部分などは(まだ独身だった時に)LAの刺激的な女の子達からインスピレーションを得たともいわれている。
Ballerina, you must have seen her
Dancing in the sand
彼女はバレリーナ 砂浜で踊る彼女を見たはずだ
And now she's in me, always with me
今や彼女は僕のもの ずっと共にいる
Tiny dancer in my hand
僕の手の中で踊る 小さな踊り子だ
単語は
- must have seen「見たに違いない」
- tiny「とても小さい」
である。
広々と開放的な場所で踊る美しいダンサーが、自分のものになったということを「僕の中で踊る」と表現している。
Jesus freaks out in the street
通りでは熱狂的なキリスト教徒が
Handing tickets out for God
神様のためにチケットを配ってる
Turning back she just laughs
振り返りながら 彼女がただ笑うから
The Boulevard is not that bad
大通りはそんなに悪いところじゃない
単語は
- Jesus「イエス・キリスト」
- freak「熱狂者」
- hand out「配布する」
- laugh「笑う」
- Boulevard「大通り」
である。
1960年~70年代のスラングとして「freak」は1つのことに熱狂して些か奇妙に見える人たちを指す。
熱心に神についての教えを布教している信者に出会い(少し煩わしく思うものの)傍にいる彼女が振り返って笑うのを見るだけで、大通りを歩くのもそんなに悪くないと思えるということ。
Piano man he makes his stand
In the auditorium
ピアノ弾きが 講堂で演奏をする
Looking on she sings the songs
The words she knows, the tune she hums
知っている歌詞を 客席で口ずさむ
そんな彼女を見つめながら
単語は
- stand「公演」
- auditorium「講堂」
- tune「旋律」
- hum「ハミングで歌う」
である。
「makes his stand」は「公演を行う」の意。
ここでいう「piano man」は「I」ではなく「he」なので、自分のことではない。
(もしかすると作詞者ルーピンから見たエルトン・ジョンのことかもしれないし、単なる例え話かもしれない)
ピアノ弾きも、演奏をしながら思わず彼女の美しさに目を止めてしまう(=それくらい彼女は魅力的なんだ)という意。
もしくは観客の前でピアノを弾くような有名な音楽家に、相応しいくらい君は素敵な女性という意とも読める。
が、実際はそこまでロマンティックではなく
But oh, how it feels so real
だけど ああ なんて生々しいんだ
Lying here with no one near
誰もいないこの場所で横たわる
Only you and you can hear me
君だけさ 君だけが聞いている
When I say softly, slowly
僕が優しく ゆっくりと言葉を紡ぐのを…
(他に観客などいない)二人きりの場所で、君は僕と一緒にいる。
大勢の前で愛を歌うようなピアノ弾きではない(so real)けど、僕が(歌うように愛を囁くのを)君だけが聞いているという状況だと捉えた。
Hold me closer tiny dancer
もっと強く抱きしめて
小さな踊り子さん
Count the headlights on the highway
ハイウェイのヘッドライトを数えて
Lay me down in sheets of linen
僕を麻のシーツに横たわらせて
You had a busy day today
今日も忙しい一日だったね
単語は
- hold「抱く」
- count「数える」
- lay「横たわらせる」
である。
「Count the headlights on the highway」(ハイウェイのヘッドライトを数えて)は、ツアー移動のバスの中で高速道路を走る車のヘッドライトをぼんやり数えている様を指すのでは、と考えた。
慌ただしく忙しい一日の中、バスで移動を続けながら麻のシーツに身を包んで休息する、そんな様も想像できる。
和訳した感想
ということで今回は、エルトン・ジョンの
- 可愛いダンサー(Tiny Dancer)
を和訳しました。
エルトン・ジョンの曲の中でも、有名な一曲で好きな方も多いのではないでしょうか。
が、当時はそれほどヒットしなかった曲。
映画『あの頃ペニーレインと』(2000) の劇中歌(バスの中の移動シーン)としても一躍脚光を浴びたともいわれています。
また曲を劇中で使ったことに関して、後に監督は
大ヒットしたわけじゃなかったけど、あの時代のムードを見事に捉えた曲だと思う。エルトン・ジョンは作品を観てこう言ってくれたんだ。「素晴らしい。“可愛いダンサー”は今でも私のお気に入りだからね、とてもうれしいよ」。何年もの間、彼はショーであの曲をプレイするたびに、映画について触れてくれていたんだ。「この曲は『あの頃ペニー・レインと』がきっかけで有名になった」ってね。そんなことをする人は滅多にいないよ。彼は最高さ。
と語っています。
また、エド・シーランの代表曲『Castle on the Hill』の歌詞中にも
I'm on my way
向かってるよ
Driving at ninety down those country lanes
時速90マイルで走り抜けるんだ あの田舎道を
Singing to "Tiny Dancer"
タイニー・ダンサーを歌いながら
と、オマージュ的に引用されている曲です。
繰り返し何度も聴きたくなるピアノのメロディーがとても耳に心地よく、結婚ソングとしてもおすすめの一曲です。
(ただし作詞者のトーピンは後に離婚してしまいましたが…)