今回は、Elton John(エルトン・ジョン)の
- 土曜の夜は僕の生きがい(Saturday Night’s Alright)
の歌詞を和訳します。
それまでアメリカ文化に当てていた作詞作曲の焦点をはじめて
- 母国のイギリスに向けた
とバーニー・トーピンが語っている曲です。
イギリスを意識した曲ということもあり、全米(最高12位)よりもイギリス(最高7位)でヒットした曲といえるでしょう。
エルトン・ジョンはこの曲をレコーディングしたときのことを鮮明に覚えていて、あまりに盛り上がったために立ち上がってボーカル録音した初めての曲だともいわれます。
Elton John(エルトン・ジョン)とは?
Elton John(エルトン・ジョン)は、イギリスのミュージシャン、シンガーソングライター。
1969年にソロ・デビューし、翌年1970年に『僕の歌は君の歌」でヒットする。
作曲は自身によるものだが、作詞に関してはデビュー以降バーニー・トーピンが担当している。
70年代の全盛期を追えて、80年代後半から90年代前半にかけては楽物依存症やアルコールで苦しむ日々を送っていた。
が、依存症を乗り越えて90年代後半には映画『ライオン・キング』のサントラなど多くの仕事で成功している。
グラミー賞は5回受賞、34回ノミネーションされている。
土曜の夜は僕の生きがい(Saturday Night’s Alright)という曲
土曜の夜は僕の生きがい(Saturday Night’s Alright)は、1973年に発表されたエルトン・ジョンの楽曲。
1973年に発売されたアルバム「黄金のレンガ路」に収録、最初のシングルとしてリリースされた。
UKチャートで7位、Billboard Hot 100は12位を記録した。
作曲はエルトン・ジョン、作詞はバーニー・トーピンが務める。
作詞者のトーピンは、この曲はイギリスを舞台にしたアメリカのロックンロールナンバーだと語っている。
特に10代の頃の騒がしい日々、地元のマーケット・レーゼンのパブに友人と連れ立った思い出にインスパイアされたという。
土曜の夜は僕の生きがい(Saturday Night’s Alright)の歌詞
It's getting late have you seen my mates
Ma tell me when the boys get here
It's seven o'clock and I want to rock
Want to get a belly full of beerMy old man's drunker than a barrel full of monkeys
And my old lady she don't care
My sister looks cute in her braces and boots
A handful of grease in her hairDon't give us none of your aggravation
We had it with your discipline
Saturday night's alright for fighting
Get a little action inGet about as oiled as a diesel train
Gonna set this dance alight
`Cause Saturday night's the night I like
Saturday night's alright alright alrightWell they're packed pretty tight in here tonight
I'm looking for a dolly who'll see me right
I may use a little muscle to get what I need
I may sink a little drink and shout out "She's with me!"A couple of the sound that I really like
Are the sounds of a switchblade and a motorbike
I'm a juvenile product of the working class
Whose best friend floats in the bottom of a glassDon't give us none of your aggravation
We had it with your discipline
Saturday night's alright for fighting
Get a little action inGet about as oiled as a diesel train
Gonna set this dance alight
`Cause Saturday night's the night I like
Saturday night's alright alright alrightDon't give us none of your aggravation
We had it with your discipline
Saturday night's alright for fighting
Get a little action inGet about as oiled as a diesel train
Gonna set this dance alight
`Cause Saturday night's the night I like
Saturday night's alright alright alrightSaturday, Saturday, Saturday
Saturday, Saturday, Saturday
Saturday, Saturday,
Saturday night's alrightSaturday, Saturday, Saturday
Saturday, Saturday, Saturday
Saturday, Saturday,
Saturday night's alrightSaturday, Saturday, Saturday
Saturday, Saturday, Saturday
Saturday, Saturday,
Saturday night's alright
土曜の夜は僕の生きがい(Saturday Night’s Alright)の歌詞和訳
もうこんな時間だ 俺の仲間を見たか?
なぁ アイツらが来たら教えてくれよ
7時だ ロックがしてぇな
腹一杯のビールでも飲みてぇな
*
俺の親父は酒飲みで すげぇ浮かれた野郎だが
お袋は 気にも留めねぇ
妹は サスペンダーとブーツ
髪には少しのグリース 可愛く着飾ってるぜ
*
だから 俺たちを苛立たせるのはやめてくれ
アンタの小言で イラついてんだ
土曜の夜は 喧嘩にゃ最適なんだぜ
ちょっくら やっちまおうか
*
ディーゼル機関車みたいに飲みまくって
踊りまくろうぜ
だって土曜の夜は 俺の好きな夜
土曜の夜なら大丈夫
平気さ 楽しもうぜ
*
うわ 今夜はすげぇ混んでて 人だらけだ
俺のこと気に入ってくれる
カワイイ子を探してんだ
力づくになるかもしんねぇな
欲しいモン 手に入れるためには
ちょいと深酔いしてきたかな
”彼女は俺のモンだ”って叫んじまうかもな
*
本気で好きな音が2つあるんだ
ナイフが飛び出す音 それとバイクの音
俺はしょせん 労働階級の未熟な生産物で
最高のダチは コップの底に残った酒なんだ
*
ディーゼル機関車みたいに飲みまくって
踊りまくろうぜ
だって土曜の夜は 俺の好きな夜
土曜の夜なら大丈夫
平気さ 楽しもうぜ
*
ディーゼル機関車みたいに飲みまくって
踊りまくろうぜ
だって土曜の夜は 俺の好きな夜
土曜の夜なら大丈夫
平気さ 楽しもうぜ
*
土曜の夜だ!土曜の夜だ!土曜の夜だ!
※繰り返し
和訳のチェックポイント(単語・文法の解説)
以下、和訳のチェックポイントをまとめておく。
It's getting late have you seen my mates
もうこんな時間だ 俺の仲間を見たか?
Ma tell me when the boys get here
なぁ アイツらが来たら教えてくれよ
It's seven o'clock and I want to rock
7時だ ロックがしてぇな
Want to get a belly full of beer
腹一杯のビールでも飲みてぇな
単語は
- It's getting late「もうこんな時間だ」
- mates「仲間」
- belly「腹」
である。
My old man's drunker than a barrel full of monkeys
俺の親父は酒飲みで すげぇ浮かれた野郎だが
And my old lady she don't care
お袋は 気にも留めねぇ
ここでの「My old man」は自分の父親を指す。
(「Goodbye Yellow Bricks Road」にも同じ表現(My old man)が出てくることから同じく「父親」と判断)
- than a barrel full of monkeys
は、すごく楽しそうに浮かれきっている様を表すイディオム(こちらを参考)
「My old lady」本来
- 妻
- 彼女(婚約者)
などを表すスラング(歳をとっている女性という意味ではない)
だが、イギリスでは「Old lady」は母親を表すスラングとして使われており、かつ語り手の年齢や前後の文脈を判断して「お袋」を和訳した。
My sister looks cute in her braces and boots
妹は サスペンダーとブーツ
A handful of grease in her hair
髪には少しのグリース 可愛く着飾ってるぜ
単語は
- braces「サスペンダー」
- a handhul「一握りの」
- grease「グリース(頭髪料のこと)」
である。
ここでは自分の家族の状況(親父は酒飲みで、母親はそれを完全に諦めて、妹は男の気を惹くためにオシャレに精一杯)をあげることで
- 家庭環境
- 生まれ
を示唆し、自分は裕福なボンボンではない(むしろ反対)ということを仄めかしている。
そういった鬱憤をもつ自分(や同じような仲間)だからこそ
Don't give us none of your aggravation
だから 俺たちを苛立たせるのはやめてくれ
We had it with your discipline
アンタの小言で イラついてんだ
Saturday night's alright for fighting
土曜の夜は 喧嘩にゃ最適なんだぜ
Get a little action in
ちょっくら やっちまおうか
単語は
- aggravation「苛立たせるもの」
- discipline「規制、しつけ」
この曲は、トーピンが10代だった頃の記憶をもとに書かれたという。
こちら(英語版ウィキペディア)によると、彼が実際にパブで仲間たちと飲み歩いていたのは15歳で始めた新聞社の研修生を辞めて、17歳でエルトン・ジョンと出会うまでの間である。
パートタイムの仕事を繰り返し、毎日ふらついている若者に対する周囲からの小言(discipline)は想像に容易い。
Get about as oiled as a diesel train
ディーゼル機関車みたいに飲み歩いて
Gonna set this dance alight
踊りまくろうぜ
`Cause Saturday night's the night I like
だって土曜の夜は 俺の好きな夜
Saturday night's alright alright alright
土曜の夜なら大丈夫
平気さ 楽しもうぜ
単語は
- get about「歩き回る」
- oiled「酒を飲む」(のイディオム)
親父は飲んだくれで自分も同じような道を辿るのだと10代にして諦めてる自分(や仲間たち)
そんな俺達が仕事や日常の鬱憤から開放されるのが、土曜日なんだ。
皆が集まって夜まで酒を飲めるこの日が、俺達の唯一の楽しみなんだよ。
それに対して文句があるなら、喧嘩でもするか?という腕っぷしの強そうな若者像が見えるサビ。
Well they're packed pretty tight in here tonight
うわ 今夜はすげぇ混んでて 人だらけだ
I'm looking for a dolly who'll see me right
俺のこと気に入ってくれる
カワイイ子を探してんだ
I may use a little muscle to get what I need
力づくになるかもしんねぇな
欲しいモン 手に入れるためには
I may sink a little drink and shout out "She's with me!"
ちょいと深酔いしてきたかな
”彼女は俺のモンだ”って叫んじまうかもな
単語は
- pack「詰め込む」
- pretty「かなり」
- tight「きつく」
- dolly「お人形ちゃん」
- see 人 right「(人)を正当に扱う」
である。
こんな自分の価値を認めてくれるカワイイ女の子を探している、ライバルが現れたら腕っぷしで奪い取ってやるという内容。
A couple of the sound that I really like
本気で好きな音が2つあるんだ
Are the sounds of a switchblade and a motorbike
ナイフが飛び出す音 それとバイクの音
I'm a juvenile product of the working class
俺はしょせん 労働階級の未熟な生産物で
Whose best friend floats in the bottom of a glass
最高のダチは コップの底に残った酒なんだ
単語は
- switchblade「飛び出しナイフ」
- juvenile「未熟な」
- working class「労働階級」
- float「漂う」
である。
ナイフとバイクを愛しているという危うさを自ら誇示し「a juvenile product of the working class」と自虐するような言い回しが続く。
和訳した感想
ということで今回は、エルトン・ジョンの
- 土曜の夜は僕の生きがい(Saturday Night’s Alright)
しました。
補足をしておくと、歌い手のエルトン・ジョン自身はかなり裕福な家の生まれです。
この歌詞はあくまで作詞者のバーニー・トーピンの体験に基づいています。
ただ、この内容はケンカ好きな不良を彷彿とさせる歌詞ですが、彼自身がこういったことを好んでいたのではなく、自分がバーでよく見かけた若者を題材にしているとのことです。
まだ10代という若さでありながらも、唯一の楽しみが
- 土曜の夜
という情報だけでも、歌詞の中の主人公の境遇が仄めかされている上手な歌詞だなと思います。