洋楽日和

オリジナルの洋楽和訳、紹介してます。

『Let It Be』The Beatles 歌詞和訳|『レット・イット・ビー』ビートルズ

今回は、Beatles(ビートルズ)の

  • Let It Be(レット・イット・ビー)

の歌詞和訳を行います。

タイトルの「Let It Be」に関しては

  • あるがままに
  • なすがままに

という和訳を選びました。

また、この言葉は夢の中に現れた亡き母親から授けられた言葉だとポール・マッカートニー自身が語っています。

※詳しくはこちらの項目にまとめています。

Beatles(ビートルズ)とは?

Beatles(ビートルズ)とは、イギリス・リヴァプール出身のロックバンド。ジョン・レノンがバンド「クオリーメン」を1957年に結成したのが始まり。

1960年に「ザ・ビートルズ」と改名、1962年にレコードデビュー。1970年に解散した。

デビュー直前のドラマー交代以後、基本編成として

  • ジョン・レノン(リズムギター)
  • ポール・マッカートニー(ベース)
  • ジョージ・ハリソン(リードギター)
  • リンゴ・スター(ドラムス)

という4人で活動を行った。

オリジナル曲は、すべてメンバーが作詞作曲を務めている。

リード・ボーカルは基本的に作詞作曲した者が担当しており、こちらに一覧がある。

全213曲中144曲(全体の約68%)は「レノン=マッカートニー」共同クレジット曲。

共作もしくは、どちらかのみが作詞・作曲をしても「レノン=マッカートニー」名義を使っている。

Let It Be(レット・イット・ビー)という曲

Let It Be(レット・イット・ビー)は、ビートルズが1970年に発売した22枚目のシングル曲である。

レノン=マッカートニー名義だが、ポール・マッカートニーが単独で作詞作曲した。

リード・ヴォーカルもポール・マッカートニーが務める。

Let It Be

Let It Be

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日本国内でのビートルズのシングルの中で、最大のヒットを記録している名曲中の名曲。


www.youtube.com

Let It Be(レット・イット・ビー)の歌詞

When I find myself in times of trouble, Mother Mary comes to me
Speaking words of wisdom, let it be
And in my hour of darkness she is standing right in front of me
Speaking words of wisdom, let it be

Let it be, let it be
Let it be, let it be
Whisper words of wisdom
Let it be

And when the broken hearted people living in the world agree
There will be an answer, let it be
For though they may be parted, there is still a chance that they will see
There will be an answer, let it be

Let it be, let it be
Let it be, let it be
Yeah, there will be an answer
Let it be
Let it be, let it be
Let it be, let it be
Whisper words of wisdom
Let it be

Let it be, let it be
Let it be, yeah, let it be
Whisper words of wisdom
Let it be

And when the night is cloudy there is still a light that shines on me
Shine until tomorrow, let it be
I wake up to the sound of music, Mother Mary comes to me
Speaking words of wisdom, let it be

Let it be, let it be
Let it be, yeah, let it be
There will be an answer
Let it be
Let it be, let it be
Let it be, yeah, let it be
There will be an answer
Let it be
Let it be, let it be
Let it be, yeah, let it be
Whisper words of wisdom
Let it be

Let It Be(レット・イット・ビー)の歌詞和訳

気づけば苦境の中にいる そんなとき母メアリーが僕の元に現れて

賢い教えを口にする

あるがままにって

闇に包まれたまま時を過ごしてると

彼女がすぐ目の前に立っていて

賢い教えを口にする

なすがままにって

あるがまま なすがまま

知恵をそっと囁くんだ

なすがままに

心が深く傷ついた

世界中の人々が 頷きあったとき

きっと答えがあるんだ

あるがままに

というのも 皆が離れ離れになっても

もう一度巡り合うチャンスはあるのだから

きっと答えがあるんだ

なすがままに

あるがまま なすがまま

知恵をそっと囁くんだ

なすがままに

あるがまま なすがまま

彼女はそっと囁くんだ

なすがままに

あるがまま なすがまま

知恵をそっと囁くんだ

なすがままに

雲に覆われた夜にも

僕を照らす光はまだあって

明日が来るまで輝いてる

あるがままに

音楽を耳に 目覚めれば

母メアリーが僕の元に現れて

賢い教えを口にする

なすがままにって

あるがまま なすがまま

知恵をそっと囁くんだ

なすがままに

あるがまま なすがまま

彼女はそっと囁くんだ

なるがままに

あるがまま なすがまま

彼女はそっと囁くんだ

なすがままに

和訳のチェックポイント(単語・文法など)

以下、和訳のチェックポイントをまとめておく。

まず

When I find myself in times of trouble, Mother Mary comes to me

気づけば苦境の中にいる そんなとき母メアリーが僕の元に現れて

Speaking words of wisdom, let it be

賢い教えを口にする

あるがままにって

単語は

  • find myself~「気が付くと~」
  • words of wisdom「格言、名言」

である。

「Mother Mary」には

  • 聖母マリア様

の意もあるが、ここでは曲の背景を踏まえてポール・マッカートニーの

  • 亡き母親メアリー

の意を優先して訳出した。

ポールの母親は、彼が14歳の頃に病で亡くなっている。

「let it be」という言葉について、彼は「死んだ母親が夢の中で授けてくれた言葉だ」とポールマッカートニー自身も答えている。

また、同じく彼が単独で作詞作曲した「イエスタデイ」も、母親の死にインスパイアされた曲として有名である。

And in my hour of darkness she is standing right in front of me

闇に包まれたまま時を過ごしてると

彼女がすぐ目の前に立っていて

Speaking words of wisdom, let it be

賢い教えを口にする

なすがままにって

単語は

  • right「まさに(強調)」
  • in front of「~の正面に、目の前に」

「words of wisdom」には「格言、名言」という訳語があるが、直訳したときの

  • 知恵の言葉

という平たい訳をあえて強調するようにした。

子どもの頃に死んだ母親は、もうどこにもいない。

そんな母親がふっと枕元に現れる。

そして大人になった今でも辛いときは、母がそっと教えを耳元に囁いて導いてくれるといった解釈。

And when the broken hearted people living in the world agree

心が深く傷ついた

世界中の人々が 頷きあったとき

There will be an answer, let it be

きっと答えがあるんだ

あるがままに

ここは

  • the broken hearted people [ living in the world ](S)
  • agree(V)

とすると解りやすいかもしれない。

  • agree「同意する、一致する」

で、人と意見を揃えて仲良くやっていくといった意も含む(ここでは互いを認めるように「頷き合う」と意訳した)

どんなに傷ついていても、互いを認め合い一つになろうとすれば必ず答えが見つかる。

For though they may be parted, there is still a chance that they will see

というのも 皆が離れ離れになっても

もう一度巡り合うチャンスはあるのだから

There will be an answer, let it be

きっと答えがあるんだ

なすがままに

単語は

  • For「というのも~だから」
  • part「分ける」
  • still「まだ」

皆が一つになろうとする心さえあれば、離れ離れになったとしてもまた一緒になれる。

常に希望はあるんだ、という流れ。

そのような状態を象徴するように

And when the night is cloudy there is still a light that shines on me

雲に覆われた夜にも 僕を照らす光はまだあって

Shine until tomorrow, let it be

明日が来るまで輝いてる

あるがままに

と次に歌われている。

どんなに暗闇に覆われていても、その奥には必ず太陽(=希望、未来)が輝いている。

今日という一日の中に、光がないことはない。

それは明日まで輝き続け、そして明日にはまた明日の光が僕を照らし続ける。

何もしなくても、それがあるがままの自然の摂理なんだということ。

I wake up to the sound of music, Mother Mary comes to me

音楽を耳に目覚めれば 母メアリーが僕の元に現れて

Speaking words of wisdom, let it be

賢い教えを口にする

なすがままにって

音楽を耳に、夢から目覚める。

夢から覚めた現実でも、母メアリーが(まるで聖母マリアの如く)自分の元に舞い降りる。

この背景に

  • 音楽が流れている

ことを踏まえれば、ポール・マッカートニーにとって音楽の源には常に母の存在があるともいえる。

それを耳にすることで母に会えるといった信仰のようなものというと大げさかもしれない。

だが、確かに「イエスタデイ」と同じく「レット・イット・ビー」もまた、亡き母親の存在があってこそ誕生した曲であった。

自分と音楽との強い結びつきの中に、母の存在を強く感じるポールの心境を仄めかしてるとも読める。

Let it beの意味とは?

曲のタイトルである

  • let it be

に関しては、ポール・マッカートニー自身が

So in this dream twelve years later, my mother appeared, and there was her face, completely clear, particularly her eyes, and she said to me very gently, very reassuringly 'Let it be'.It was lovely.

20年前のこの夢の中に母親が現れてね、本当にはっきりと、彼女の顔だったんだ。特に目元がね。で、言ったんだ。

どこまでも優しく、安心させるように「Let it be」って。美しかった。

と語っている。

続けて、この「Let it be」という言葉の意味については

 I woke up with a great feeling. It was really like she had visited me at this very difficult point in my life and gave me this message - 'Be gentle, don't fight things, just try and go with the flow and it will all work out',

素晴らしい気持ちで目覚めたよ。人生の辛い時期に、母が僕の元を本当に訪れて、こんなメッセージを与えてくれたみたいだった。

”穏やかにありなさい、些細なことで争わず、ただ流れに身を任せてみなさい。そうすれば、全てが上手くいくわ”ってね

と語っている。

日本語としては

  • あるがまま(=今のまま)
  • なすがまま(=流れのまま)

という意である。

今ある現状を受け入れるという全肯定、心を広く穏やかに保ったまま流れのままに身を任せて、柳の木のようにしなやかに生きる様と解釈した。

また前述したように「Mother Mary」には

  • 聖母マリア様

の意もあり、新約聖書『ルカによる福音書』1章38節(受胎告知)におけるマリアの言葉として

 let it be成りますように

というものがある。

ポール・マッカートニーの発言からここでは明らかに自分の母親を指している。

が、あえて「Mother Mary」とすることで「聖母マリア」の含みをもたせ

  • 普遍性
  • 共通性

を歌に背負わせてると考えるのが妥当だろう。

あくまで個人的な曲でさえも世界中どのような人にも共感でき、あらゆる文脈でも読める歌として仕上げるというのは「イエスタデイ」を含めて、ポールマッカートニの多くの曲に共通してる特徴ともいえるだろう。

和訳した感想

ということで今回はBeatles(ビートルズ)の

  • Let It Be(レット・イット・ビー)

の歌詞を和訳しました。

この曲は、ビートルズ活動中の最後のシングル盤となって4人は別々の道を歩んでいくことになりました。

その最後を飾る曲が「Let It Be」である、という点にもビートルズというバンドの凄さでもありますよね。

思えばこの曲は昔、音楽の時間に学校で歌わされたような記憶があります。

そのときは幼くて

繰り返しが多い眠くなる歌

くらいに思っていたのですが、大人になってから意味を考えて改めて聞くと本当に良い曲だな、としみじみ思うものがあります。

ポール・マッカートニーのビートルズ時代のバラードは

そして「Let it Be」と、まさに傑作揃いです。

Hello, Goodbye」の和訳でも書いたのですが、ポール・マッカートニの曲は基本的に明るいです。

でもその明るさは、常に暗さと表裏一体になっています。

辛くて、苦しくて、もう駄目だという状態でも

  • でもすべてうまくいく

という人生への信頼、全肯定が必ず根底にあります。

ネガティブなものを認知しながらも否定せず、全部ひっくるめて最後は肯定してしまう柔軟な力強さを感じるんです。

また、どの曲も14歳で死別してしまった母親への愛が強くあるからこその曲と思えてなりません。

Hey Jude」はジョン・レノンの息子に向けて歌った曲。

もしポール・マッカートニに愛する母親との死別という過去がなければ、このような歌は書けなかったのではと思います。

失恋ソングとしても、応援ソングとしても。

どれだけ時代を超えても、どんな立場の人にも共感できる普遍性をもった名曲中の名曲。

きっとこれから先も多くの人に愛され、そして歌われ続けことだと思います。